ベトナム進出企業のための駐在員事務所と法人の同時運営ガイド
はじめに
ベトナムに進出する際、企業にはさまざまな選択肢があります。その中でも「駐在員事務所(Representative Office)」と「法人(Limited Liability Company)」のどちらを設立するかは重要な判断です。企業の事業目的によっては、駐在員事務所と法人を同時に運営することで、柔軟にベトナム市場へアプローチできます。本記事では、それぞれの特徴や、同時運営のメリット・デメリット、手続きについて詳しく解説します。
1. 駐在員事務所(Representative Office)とは?
駐在員事務所(RO)は、外国企業がベトナムにおいて市場調査や取引先との関係構築を行うための拠点です。ただし、駐在員事務所自体は営業活動(販売・請求・契約締結など)を行うことが認められていません。主な特徴は以下の通りです。
メリット:
設立手続きが比較的簡単(通常、2~3ヶ月で設立可能)
法人税の対象外(収益を生み出さないため)
市場調査や取引先との連携がしやすい
外国企業の100%出資で設立可能
デメリット:
収益活動が一切禁止されている
銀行口座の利用範囲が限定される(送金は本社からのみ)
期限があり、定期的な更新が必要
2. 法人(Limited Liability Company)とは?
法人(有限責任会社)は、ベトナム国内で事業活動を行うための正式な会社形態です。販売活動、契約締結、雇用などが可能で、一般的には外国企業が100%出資する「外資系企業」として設立されることが多いです。
メリット:
営利活動が可能(販売・請求・契約締結など)
ベトナム市場に本格的に参入できる
投資奨励業種に該当すれば税制優遇が受けられる
デメリット:
設立手続きが煩雑で、約3~6ヶ月かかることがある
外資系企業には業種によって規制がある
税務申告や会計処理が必要(法人税・VATなど)
3. 同時運営のメリットと活用方法
企業によっては、駐在員事務所と法人を同時に運営することで、より柔軟な事業展開が可能になります。
同時運営のメリット:
市場調査と事業展開の両立:駐在員事務所で市場調査をしつつ、法人で実際のビジネスを展開できる
税務メリットの活用:駐在員事務所は法人税対象外のため、一部の費用を駐在員事務所経由で処理可能
ブランドの強化:法人を持つことでベトナム市場での信用力が向上
活用例:
新規進出時のリスクヘッジ
まず駐在員事務所を設立し、市場調査をしながらビジネス機会を探る
事業の可能性が見えてきたら法人を設立し、本格的に事業を開始
販売と管理の分離
法人を販売や営業活動の拠点とし、駐在員事務所を本社とベトナムの取引先との調整窓口として活用
4. 設立手続きと注意点
駐在員事務所の設立手続き:
ベトナム商工省(MOIT)または関連省庁へ申請
必要書類の提出(本社の登記証明、財務諸表、駐在員の任命書など)
認可後、駐在員事務所の銀行口座を開設し、運営開始
法人の設立手続き:
投資登録証明書(IRC)の取得
企業登録証明書(ERC)の取得
税務・社会保険登録
事業ライセンスの取得(業種による)
注意点:
ベトナムでは法律や規制が頻繁に変更されるため、最新情報を確認することが重要
業種によっては100%外資での法人設立が制限されているため、現地パートナーとの合弁が必要な場合がある
5. まとめ
ベトナム進出を考える企業にとって、駐在員事務所と法人の両方を活用することは、リスクを抑えながら市場に適応するための有効な手段です。駐在員事務所は市場調査や取引関係の構築に、法人は本格的な事業展開に向いており、それぞれの特徴を理解して戦略的に活用することが求められます。
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